大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和26年(う)155号 判決

弁護人Aの論旨第一点、同Bの論旨第五点、同Cの論旨第三点について。

記録に徴すれば、本件は収税官吏の告発によるものでないことが明かであるけれども、しかしながら、国税犯則取締法第十二条の二の法意とするところは、一般官吏の犯罪告発義務について規定した、刑事訴訟法第二百三十九条第二項と、全く其の趣旨を同じうするものと解すべく、ただ、刑事訴訟法上これと同旨の規定が存在するに拘らず、重ねて国税犯則取締法中に斯る特則が設けられた所以のものは、畢竟、犯則事件に於ける収税官吏の告発義務について、特に当該官吏の注意を喚起し、且、該義務の忠実なる履行をこれに期待する趣旨に外ならず、該法条の存在理由については、それ以上の特殊な意義を附加すべきでないと解するをもつて正当なりと考える。租税事務の技術的性格を重視するの余り、収税官吏に対し、総べての国税犯則事件に関し、一国の刑政を左右するに足る特権を認めんとするがごとき所説は、到底これに同視するを得ない。そうして見れば、「本件のごとき直接国税に関する犯則事件についても、間接国税に関する犯則事件と同じく、収税官吏の告発を俟つて、はじめて、其の罪を論ずべし。」とする論旨は何等これを支持するに足る法的の根拠がなく、従つて、収税官吏の告発を俟たずして本件を審判した原審の訴訟手続には、所論のような法令の違背が存しないから、論旨は其の理由がない。

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